「──…夢がある男の方がかっこいいと思うよ。気持ちは分かるさ。
………俺も………
音楽捨てられへんし……さ……。」
「…………」
歌えなくなっても、
曲が作れなくなっても
俺にはまだ───……
「……あなたならいいかな………」
「───は?」
ふっと笑ったぶんは何かを振り切ったように俺を見た。
「───あなたは、本当に飾らない人だから…。
だから……
あなたが彩を好きだと知った時
───…あなたにだけは、彩を盗られたくなかった…………。」
「…………」
「……でも何ででしょうね……
一番盗られたくないと思っていたはずなのに、今は───……
───“朝岡さんなら”彩を託せるって、そう思えます。」
───…ぶん………?
「──彩を、頼みます…。
あの子は、いつも人目を避けて一人で泣く子だから……
きっと今も───……」
「…………」
「……だから、
“泣きたい時に思いっきり泣いていいんだよ”って……
朝岡さんが教えてやって下さい。
お願いします……」
「………分かった……」



