────…そして……
「……東京……東京っと………
国内線……って、あ。
こっちか?」
俺は独り言を呟きながら、行き交う雑踏の中を歩いていた。
───そして……
「────…ぶん!」
俺がそう呼ぶと、ぶんはビックリしたように振り向いた。
───そう、ここは空港。
今日は3月29日。
ぶんから、
“今日東京に旅立つ”
っていう留守電を聞いた俺は、すぐさま車飛ばしてここまでやって来たって訳だ。
「………ったく……
何でよりによって、見送りがあなたなんですか…」
窓から飛行機を見つめながら、ぶんは溜め息を漏らす。
「何じゃそりゃ。
せっかく見送りに来たのに文句かい。」
「…………ふっ……」
俺達はくすくすと笑い、共に椅子に腰掛けた。
「──…で?
やっぱりお前は夢を捨てられずに東京行くんや。」
「………」
「東京は人が多いで~?色んな誘惑あるから気をつけや。」
「……そっか……。
朝岡さん、東京に住んでたんですっけ…?」
「うん。親父の転勤で何年かね。」
「へぇ……」
「時々東京行ったりするから、そん時は声掛けてや♪」
「いやですよ……」
「……冷たいな、お前…」
ぷっとお互い吹き出しながらながら、俺達は旋回する飛行機を見つめた。



