「……ごめんなさい……
本当にごめんなさい………」
───ポロポロ………。
涙はとめどなく流れ落ち、チカは頭を深く下げた。
「…何回も言うけど、俺も悪いから。
ずっと、向き合わんと逃げてばっかやった……
………ごめんな……
……チカ……」
「……そんなことない…
そんなことないよ……」
「……チカ……
……俺に卵焼き焼いてくれたん覚えてる……?」
「……え……?
う、うん───……」
「“俺の為に”って作ってくれたあの時のチカを見てさ………
こんな優しい一面もあるんやって……
……俺、すごい嬉しくてさ……。
……何か、初めて向き合っていけそうやなって……
……そう……
思った…………」
──…誰かの為に、精一杯頑張っていたチカ。
俺はあの時のチカに、一番思いやりを感じれた。
「……………ッ」
「……チカの気持ち、俺も彩を好きになって初めて気付いた。
振り向いてくれへんもどかしさとか、苦しさとか……」
───知るたびに、自分の中に生まれる邪な感情に呑み込まれそうで。
愛すれば愛するほど、理想とかけ離れている現実に肩を落としたりして───…
「────…でもさ。
俺はチカと同じ思いを抱えてても、明らかに違うとこがあった。
……それはさ……」
どんなに欲しくて願っても、
どんなに叶わない思いだって分かっていても、
心の中で汚い感情を吐き出す事はあっても──…
「───俺は………
好きになった相手を……
………彩を……………
傷付けたりは出来ひんかった───…………
────絶対………」
「─────…っ」
───…苦しいよ?
苦しくて苦しくて仕方ないよ?
本当は何もかもぶち壊して奪ってやりたいよ。
──…それでも、
そんな自分勝手な思いの果てに行き着くのは
いつも一番に願うのは
君が笑顔になれる理由。
君の幸せ。
──…ただ、それだけ。
それだけが、いつも心に残るんだ。
それだけで、俺はいつも救われるんだ。



