──まだ早朝だからだろうか。
駅前にはあまり人はいなく、俺はすぐに見つける事が出来た。
───…俯き加減で不安そうにそわそわしている姿、
荷物を抱え、何度も何度も周りの様子を伺うその目と……
━━━俺は、目が合った。
「────…チカ!」
俺が手を振って笑うと、チカは一瞬ビクリと体を強ばらせ、微かに笑った。
「……純………!
ほんとに……来てくれたの………?」
チカはパチパチとまばたきを繰り返しながら、涙ぐむ。
「当たり前やろー?
手紙くれるってことは見送りに行っていいんかなぁって思ってさ。」
「……やだな、もう…
でも……やっぱり嬉しいや。
待ってて良かった。
ありがとう………」
俺は、頷いて静かに笑った。
────…二日前。
ポストに入っていた手紙には、チカから引っ越すという報告が書いてあった。
………そう。
今日は、チカが旅立つ日。
「……でもさぁ?
チカ、お前ほんまに保育士目指すのやめるん?」
「……うん。あたし……
何だか今、自分が本当に何したいかよく分からなくて……
一度、誰も知らない場所で自分を見つめ直してやり直したいの。
────0から。」
そう言ったチカは、何かを振り切ったように笑った。
「……そっか……。
……ま、とことん見つめ直すのもありかもな。
あんまり無理すんなよ?」
「………うん……。
純………あの───…」
「ん?」
荷物を持ち、歩く俺の背後でチカがふいに足を止めた。



