二人はやがて手を繋ぎ、互いに笑いながら離れた。
遠くから見ていると、二人が別れているなんてまるで嘘のようで
だけど
向き合っている時はお互い無理やり笑顔を保っていたのだろう。
二人が互いに背を向けて歩き出した瞬間、崩れるように笑顔の仮面が剥がれ落ちていた。
───凛とした背中をぶんに見せたいあまり、後ろ姿は完璧なのに顔がぐちゃぐちゃな彩。
───その完璧ではない背中が遠くなっているのを見つめ、ぎゅっと拳を強く握り締めるぶん。
───何だろう。
どうして俺まで胸が押しつぶされるように苦しいのだろう。
「────声。
掛けないでいいのか?」
後ろを振り向くと、吾郎が腕組をしながら同じ光景を見つめていた。
「───…や……
……何ていうかさ………
今はどっちにも声掛けたらあかん時っていうの……?」
俺は遠くから、距離がどんどん離れていく二人を見つめた。
「……純らしくないわね。こういう時こそ、声掛けてガンガン行かなきゃ。」
続いてマリアがフーッと煙草を吐き出し、そう言う。
「そーだよっ!!!!
やっとチャンスが巡って来たのにっ!」
壱は俺に手を回し、なつきながらそう言ってくる。
「──誰でも一人になりたい時ってあるやろ…。
今がそうなんちゃうか?
………それに………」
「───それに?」
「……今日くらい、ぶんの為に思いっきり泣きたいやろうから………」
「──……純ってば……」
今まで誰かれ構わず、涙を見せるたびに差し出していたこの手も……
やっと、救いの手の差し出し方が分かった気がするよ。
──今はいらないよな?
君は、悲しくて泣いている訳じゃないだろう?
自分に、
相手に、
過去に、
思い出に決別する為の涙なんだろ?
強くなる為に、泣いているんだろう?
後ろを振り返らないように。
前を向くために。
どうか、その涙がいつか君の糧になりますように。
今は苦しいその瞬間も、
いつか君を優しく包んでくれる思い出となりますように。
……そう願って、俺は仲間と共に歩き出した。



