「……父親、か……」
ポツリと叫んで、自分の親父の姿がふいに浮かんだ。
お袋が死んでから、人が変わったように荒れてしまった親父。
お袋が生きてた頃は、
無口だったけどそれなりに笑っていたし、会話もあった。
それが、お袋が死んでから一変。
酒に明け暮れ、会話もなくなり、見せる背中がいつも寂しげだった。
だから、いつも
“俺が邪魔なのかな”
そう、思ってた。
…お袋が死んで、幼い俺を一人で育てること。
……辛いのかな、って。
俺がいなけりゃ、再婚だって考えられるだろうに。
───…いつしか幼い俺の心には“自分が重荷だ”って思いが圧迫していた。
同時に、あんな無関心な親にはなりたくないって思ってた。
でも、今は………
そうなったらどうしようって不安が先走って、思うように気持ちが付いていかない。
親の愛情なんて信じてない俺が、果たして父親になれるのかと……。
出来れば、その自信が培った時に父親になりたかったと……。
いきなり浮き立った不安は急速に増し、勢いは止まらない。
───しっかりしろ………。



