────…ザァァァ…
「────あっ来た!純!!」
大学に着いて早々、壱が飛び上がるように俺を見つけ走ってくる。
───…続いてマリアが
「……ちょっと……
純どうしたの……?」
俺の姿を見るなり、マリアは驚いて手で口を押さえた。
「……純……お前……
その姿───……」
吾郎は駆け付けるなり、信じられない様子で俺を見つめた。
「………………」
───この時の俺の記憶はない。
だから何を言ったのか全くもって覚えてないし、
どこをどうやってここまで辿り着いたのかも覚えてはいない。
これは吾郎、マリア、壱から聞いたこの当時の話。
俺はどうやらこの強い雨の中を一人トボトボと途方に暮れて歩いて来たんだと言う。
全身ずぶ濡れ、更に手は血塗れで、滴る雫は血と雨が一緒になっていたらしい。
声をかけても無反応、ただ一点を見つめて焦点が合わない瞳。
まるで精神だけが別世界に行ったようで、ただならない様子だったと……
───…三人は今でも口を揃えてそう言う。
何回も言うが……
俺はカッコつけてる訳でもなく、真剣にこの時の記憶が思い出せない。
───…それは今でも。
それくらい、俺には受け入れられなかった現実だったようだ。



