────ザァァァァ…。
その日は、冷たい雨が降っていた。
一年前、あの雨の中でチカに手を差し伸べた日のように。
「……行くか……」
窓に叩きついてくる雨を見ながら、俺はちっとも気分が上がらなかった。
やっぱりバンドの出演キャンセルしとくんやったな……。
喉も本調子じゃないし、咳は止まらないし。
第一、メンバー全員で練習なんかまともにしてない。
盛り上がらない事は目に見えてるし、いっそもう──……。
───このライブを機に、解散した方がいいだろう。
「…………」
覚悟を決め、俺が玄関のドアを開けようとした時だった。
─────バタンッ!
俺が手を掛けるよりも先にドアが開き───…
「────……純。」
「……………!」
───チカが気持ち悪いくらいの笑顔を浮かべ、俺の前に立ちはだかった。



