────ガラッ!
急に背後のドアが開き、
「──あれ?
朝岡さん今日来てたんですか?」
と、さっきの電話相手の高山英寿が俺を見つめた。
「……あ…」
彩がそう小さく声をだし、後ろを振り向く。
その嬉しそうな笑顔を、俺は見逃せなかった。
「あ。桜井さん!」
そう軽やかに挨拶する、高山。
ニックネームは、
何故だか“ぶんちゃん”。
何でそんな名前と関係ないニックネームなのかはよく知らない。
だけど、周りがみんなそう呼んでいるから俺もぶんと呼んでいた。
「どうしたの、ボーっとして。
……つか、鞄落ちてるし。」
そう言ってぶんは彩の鞄を拾って笑顔を見せた。
…ま、鞄落とさせた原因は俺やねんけどな。
真っ赤な彩の顔を見て、またふいに笑顔になってしまう。
俺、今日は完全に可笑しいかもしれへん。
彩が困ったような顔をして俺を見つめるのも、何もかも。
見ていて飽きなかったし、何より心が落ち着いた。



