───…俺の意思など完全に無視するような時間の流れに、どんどん身動きが出来なくなっていく。
チカは無事退院したが、安心なんてちっとも出来る訳がない。
“いつ”
“また”
“どこで”
“どうなるか”
──……こればかりが頭によぎり、毎日毎日生と死の不安に駆られ、落ち着く事など出来ない。
チカは親にねだったのかは分からないが、俺の家からそう遠くはないマンションへと引っ越していた。
──…だが、合い鍵は以前返そうとはせず……。
家に帰るたび、
ドアを開けるたび、
突如襲ってくる不安は、
言葉では語り尽くせない。
───…俺はますます食事も喉を通らなくなり、
不安や恐怖感からか眠れない日々も多々あった。
次第に口数は少なくなり、
笑うことは愚か、喋る気力すら失われていった。
───……そして……。
そんな無力で無気力な俺を残し、
───いつの間にか、
季節は夏へと変わっていた。



