「───…う…そだろっ……っ!?




チカっ!!!!!




しっかりしろチカ!!」






目の前で何が起こっているかなんて




何でこんな事になっているかなんて





ゆっくり考えて納得する暇なんか到底なくて






────ギュッ!!!






羽織っていた上着をとっさに脱いで、




有り得ないくらい震える手で止血するのに精一杯で………






「───チカ!



チカ!聞こえるか!?」






頭まで脈打つような拍動を感じながらも、チカの名前を呼び続けた。






────すると






俺の声にピクリと反応したチカはうっすらと目を開き、






「…………純………」






そう言って視点が定まらないような目で俺を見つめた。






「───チカ……っ




お前何でこんな事……っ!」






「────……て……」





「………え?



何て………?」








「───…行かないで…





どこにも────……






お願い…………」








「─────チカ!!」






そう言い終えると再び目を閉じたチカを見て






俺はがむしゃらに電話のボタンを押しまくって救急車を呼んだ。






起こっている現実を夢だと祈りながら





ただ茫然と、何も動くことなんか出来ずに





チカの処置を診察室の外でずっと待ち続けた。





……ひたすら震えながら……。