───…それから、
俺はしばらく車を走らせた。
少し険しい山道の運転にももう慣れたもんだ。
行き先はもう決まってる。
そう、いつも俺がよく行く場所───……
「彩、着いたで♪」
「……へっ?」
俺は車のエンジンを切って、外を指差す。
「────……えっ…」
彩は一言そう呟くが、その先の言葉が消えてしまった。
───そう、
ここは、さっきも一人で来た山の頂上付近。
消える事のない、幾千もの永遠の輝き。
夜の闇に光り煌めく宝石がそこにはある。
「……すごい……っ」
「せやろ?
俺の秘密の場所♪」
今まで誰とも一緒にここに訪れなかった俺が、初めて誰かを連れて行こうと思った。
いや、
連れて行きたい、と思った。
どうしても、
“今”ここで、君と。
どうしても、
同じ景色を
同じ時間を
共に、刻んで置きたくて。
俺は車から降り、夜景を見つめる彩の隣にそっと並んだ。
「本当にすごいね…。
感動だよ──…」
「寝ころんだらさ、
星も見えるんやで♪」
「ほんとっ?」
「うん、ほらこっち来て寝てみ?」
「うん!!」
──…二人で芝生に寝転び、空を仰ぐ。
すると、
「───…わぁっ……」
彩はまた、その目に星の光を映して感動の声を上げた。
その目に映る光を見て、
俺の目に別の光が宿る。
────水の、光が。
───…もう、
カウントダウン、か。
「…昔からさ…
何かあったらここに来ててん…」
ふっと息を吸い込んで、吐く息をゆっくりと言葉に変えていく───…。



