──…その後も、
俺は多分人生で一番心安らぐ一時を過ごした。
初めて、好きな奴とこんなに近くで同じ時間を共有出来た。
彩の笑顔も、
彩の仕草も、
何気ない会話一つ一つでさえ……
───全てが、
俺には降り輝く宝物で。
大袈裟に言うと、墓場まで持って行きたいくらいだなぁ、なんて思ったくらいだった。
「──…彩、そろそろ行こっか?」
「あ、うん。」
そう返事をすると、彩は鞄の中に手を入れて何かを探し始めた。
「何探してんの?」
「えっ?お財布…」
そう答えた彩の手を瞬時にグッと押さえれば、彩は驚いた様子で俺を見つめた。
「──いらん。」
「えっ!?いやいい…!」
焦る彩を置いて先に会計を済ませれば、
「朝岡さん…!」
彩がパタパタとこちらに向かって来る。
「誘ったのは俺やから。
それに高校生なんやから甘えていいんやって。
…………な?」
「…………」
不服そうな彩。
俺は覗き込むかのように、かがんで彩と目を合わせる。
「──それより、忘れ物。」
「………えっ?」
俺が笑うと、すぐそばにいた店員が軽く一礼し、
「──…贈り物で御座います。」
「………!?!?」
彩に、小さな花のブーケを手渡した。



