「……お邪魔します…」
彩はまだ若干不安が残る様子で、おずおずと助手席に座った。
「……元気やった?」
ポン、と彩の頭を撫でながら尋ねれば、
「……うん……」
そう言って、こちらを振り向いた。
「……良かった。」
───…彩と出会って一年。
彩は一年前に比べると、明らかに綺麗になっていた。
伸びた髪は毛先がふわふわと揺れ、
夜の闇に反射して、瞼のアイシャドーがキラキラと光り、
可憐な唇には、春にぴったりな桜色の淡いグロスが輝いている。
────…綺麗、だ。
とても。
「──ほんなら出発すんで?」
「うっ、うん♪」
俺は見とれ過ぎていた彩から慌てて視線を離し、車を出した。
「……………」
「……………」
どちらも最初は緊張のあまり会話がないものの─……
「……うわぁー…」
彩は、窓の外から見える夜景に声を上げた。
「…彩、夜景好き?」
「うんっ!!大好き!!」
にこにこと返事を返す彩を見て、俺の口端が見る見るうちに緩んでいく。
「じゃ、イタリアンは?」
「へっ?イタリアン?」
「そ。今から行くんやけど大丈夫?」
そう言えば、彩はたちまちパアッと顔を明るくして。
「うんっ…!大丈夫…。」
嬉しそうに、コクンと頷いた。
「……良かった。」
俺も笑顔で頷けば、車はすぐに店に辿り着いた。
外観からしてもメルヘンな店は、すぐに彩の興味を誘ったようだ。
「……可愛い……」
ちょんちょん…と指でオルゴールをつついている彩を見て、俺は微笑みながら奥へと進んだ。
「すいません、予約してた朝岡ですけど……」
「お待ちしておりました。サプライズ付きでご予約頂いた朝岡様ですね。
どうぞ、こちらへ。」
こそっと笑って言った店員に笑顔で頷き返し、
「彩、こっちやって♪」
振り向いて手を振ると、彩はいきなり姿を消した俺に急いで駆け寄り、
「……予約してくれてたの……?」
「うん♪」
「…ありがとう…」
「えぇよ、腹減ったやろ?はよ座ろ?」
俺はそう言いながら、
照れて俯く彩の背中に、優しく手を回した。



