この山頂は、お袋が生前好きな場所だった。
昼間に訪れると景色を一望出来て、
夜に訪れれば、夜景と夜空を一望出来る場所。
お袋曰わく、“穴場スポット”らしくて。
その名の通り、いつも人はほとんどいない。
だからお袋が生きていた時には、よく家族でピクニックなどに利用していた場所だった。
お袋がいない今、
俺は一人で訪れる事の方が多くなったけど。
──…思い出の場所だからだろうか?
あんまり、軽く誰かと訪れたくはない。
だからいつしか、俺は何かあれば自然とここに来るようになっていた。
─────…ゴロン……
仰向けになりながら、
俺は雲一つない空と対面した。
「………………」
……彩………
元気かな……?
俺が好きだってチカに聞いてどう思ったんだろう?
………驚いた、だろうな。
それに見損なわれただろう。
完全に嫌われただろうな。
「─────…」
────…不本意、だ。
ずっと隠し続け、封じ込めていた想い。
なのに
なのにどうして──…
どうして、他人から公表されなきゃならなかったんだ?
どうせバレるなら…
こんな事になるのなら…
───せめて、
自分の口から告げたかった。
自分で意志を告げなきゃ、意味がない。
「それやったら……
まだ終わってないんかな……?」
自分で告げる事に意義があるのなら。
その結末が失恋と言うのなら。
……俺は、まだ何もしていないし動いてもいない。
「──……なら……
せめて…………」
俺は消え失せそうな声で空に問い掛けた。



