「──…以前、君が出演していた学園祭のライブを見せてもらった時…
君が、声を張り上げて歌っている姿を拝見した。
君の歌声にはとても印象があって惹き付けられたのだが──……
私には、
何かを追い求めているような、そんな叫びに聞こえた。」
学園祭……。
そうだ………
ちょうどあの時は、
彩がぶんを好きだと気付いて、何もかも忘れたくて声を張り上げていたんだっけ……。
教授は更に俺を見つめ…
「──…けれど、
あの時の君は、まだこんなに失望してはいなかった。
君の声も、
君が手掛けた曲も、
まだ、血が通っていた。」
「───……」
「…いいか、朝岡くん。
君は音楽に対して誰にも負けないような、素晴らしい才能と発想を持っている。
……だからこそ、今心に抱えている“負”も表現出来るようになりなさい。
悩みをコントロールして、その苦悩を表現出来るようになりなさい。」
「───……先…生……」
「今のように負に負けると、ただの雑音になる。
人生も同じだ。
悩みながら答えを模索し、迷いながらも自分の道を決める。
人生と作曲は似ていると思わないかね?」
「………はい───…」
たった楽譜一枚で見抜かれた池内教授の洞察力にも圧倒されたが
あの時の俺には、確かに必要な助言だったと思う。
厳しい言葉の中に掛けられた、温かさと希望。
それが、
枯れ果てた俺の心に温かい雨を降らしてくれた気がした。



