離れていくチカに何も言い返せず、俺はただ一点を茫然と見つめていた。
今チカに言われた言葉が、“偽善者”と形を変える。
「…チカさん…?」
──…彩がチカと会話しているのを遠くで感じながら──……
何故か俺だけ異世界にいるように感じた。
「────………っ」
じゃあどうしたら良かったんだ。
関係ないからとチカをあのままにしておけば良かったのか?
無意識に俺を頼って来たと言ったチカを?
俺がやったことは全て間違っていて、
そしてそれは傷つけてしまう結果となって、
結局は同情という名で片付けられてしまうっていうのか──…?
………違うのに。
何かチカの力になりたかった。
笑顔になって、元気になってくれればそれで良かった。
──それだけだったのに。
言いようのない感情が、波のように次々と押し寄せてくる。
……だけど偽善者には変わりはないんだと思ったら、何を考えても異論は出なかった。
チカの言う通りだ。
これは“優しさ”なんかじゃない。
俺の“中途半端さ”が、チカを傷つけてしまったんだ。
何で俺はこうなんだろう?
自問自答しても答えは見つからなかった。
───…雪の降る、クリスマスイブ。
あの日、確かに俺の心の中でも雪は振っていた。
俺の行き先を埋め尽くすかのような、白く深い雪が。



