───…その日の帰り道。
帰路を運転中の俺に、チカのご機嫌な声が耳に入って来た。
「今日は久々で楽しかったな~♪
ねぇ、純♪
彩ちゃんってすごい可愛い子だよね~!!
あたしびっくりしちゃった!!」
「………うん。」
「彩ちゃんってさ、見た目可愛い子なのに喋るとすごい面白い子だよねぇ!!
ギャップがあるって言うのかな~♪
ありゃモテるわ、うん。」
「………うん。」
「知ってた?
彩ちゃんとぶんちゃんって付き合ってるんだって♪」
「…………うん。」
「ほらね、ケータイ番号まで交換しちゃった♪
今度遊びに行くの♪」
「………うん……」
「………純?」
「…………うん」
「──ったくもう!!!!
純ってばさっきから本当に話聞いてる!?!?」
さっきから同じ返事を繰り返す俺に痺れを切らしたのか、チカは声を張り上げた。
「──…聞いてるよ。」
運転に集中している素振りを見せながら返事をする俺。
「何か最近の純、様子が変だよ?
ボーっとしてるし、全然話聞いてないし。」
「……そ?
俺は普通やよ普通。」
───…もう、仕方ないのかもしれない。
自分の気持ちを隠しながら笑うのは。
慣れちゃいけない事なのに、俺は必死に慣れようとしていた。
そんな事して誤魔化したって、この先に待つ悲しみは変わる訳なかったのに。
……思い返せば、ここからだ。
何もかも崩れていく、
“崩壊の始まり”は。



