「──…何が?」
視線を逸らしながら質問返しをする俺に、ぶんは呆れたように溜め息を付く。
「何がって、クリスマスです。
よりによって、何でクリスマスまであなたに邪魔されなきゃいけないんです?」
「──…邪魔で結構。
今回はあくまでキョーコらに協力する形や。
だから今回はお前と敵対するつもりもない。」
「………」
「──…そんなに俺が信じられへんなら、彩を見張っとけばえぇ話やろ?」
キッパリ宣言した俺の返事代わりに、ジッとこちらを見つめるぶん。
「──…分かりました。
今回だけは目を瞑ります。
──だけど。
少しでも彩に変な手出したら、その時は許しませんから。」
そこまで言うと、ぶんはクルリと背を向けて出て行った。
「…………」
─────グシャッ!
持っていた缶コーヒーを握り潰し、ポタポタと滴るコーヒーが手を伝う。
「───…くそっ……」
いい加減にしてくれないか。
いちいち傷付いて
たまに期待して
それでも誤魔化しながら想い続けるこの感情を。
どうにか出来るもんなら
どうにかしたい。
分かっている。
今や邪魔者は“この俺”なんだと、痛い程分かっている。
もはや彩に近付く事も困難になってきた。
じゃあ───…
じゃあどうしたら彩を嫌いになれる?
どうしたら心から彩を消去出来る?
簡単に忘れられて、
笑顔も思い出もすぐに葬り去って、
『さぁ次行こう。』
どうしたらそう切り替えが出来る?
それを“強さ”と呼ぶのなら
俺はそこまで強くない。
強くなんか、なれない。



