「いいなぁ…
赤ちゃん超癒やされる~…」
チカは保育を勉強しているからか……
とろけるような視線で赤ん坊を見つめてニコニコだ。
「ねぇねっ、チカ♪
良かったらうちの家すぐ裏だし来る?
久しぶりだからお茶しない?♪」
「へっ……?いいの?」
チカは目をパチパチとまばたきさせ、俺をじっと見つめてきた。
“行きたい”という気持ちが全面的に出てる目線が眩しい。
「いいやん♪
せっかくやねんから、二人でゆっくりしてきたら?」
その瞬間チカは更にパッと目を輝かせ、
「ありがとう!!純!!
あたし、帰りは電車乗って帰るから、みんなと先に帰っててね♪
じゃあねっ★」
そう言って、満面の笑みで早希と笑顔で歩き出した。
──チカと早希は高校生の時から大の仲良しだった。
止める理由なんか何処にもなかったし、いや、むしろ今のチカは早希と関わる方がいいだろう。
かなり元気に回復してきたが、俺や紅以外の人間とは未だに関わろとしていなかったチカ。
早希と話して、徐々に外の世界に対して警戒心を解いてくれればいいな……と。
出来るなら、自分から早希に相談してくれたら俺は嬉しい。
逃げずに、自分の大切な人に自分から悩みを打ち明ける勇気を持って欲しい。
……そうやって、少しずつ少しずつ……
チカには平凡な日々を取り戻して欲しいと思った。
「純~ッッッ♪♪♪
焼きもろこし食う~!?超~うんまいよっ♪♪」
俺と吾郎が早希と話してる間、壱とマリアはよほど退屈だったのだろう。
いつの間にか二人の手にはどっさりと沢山の食い物が……。
「……酒はさすがにないのねー………。
はー、残念。ビール飲みたい……」
マリアはスルメを噛み切りながら、残念そうに口を尖らせている。
「マリア、お前おっさんか。」
「はぁー?何てこと言うのよ、聞き捨てなんないわね。」
「ははっ、だってお前───…」
そうマリアに笑いかけた時─────…
────────!
見えたんだ。
「純?!?!」
──気づけば俺も。
全速力で走って、
その腕を掴んで、
「────…彩?」
──君の名を、呼んだ。



