───不気味な暗黒の世界に一歩足を踏み入れれば、室内の空気がより一層冷たくなって思わず身を震わせた。
「……さむぅっ……」
チカの一言もやけに響く室内。
きっとエアコンか何かで冷やしまくってるに違いない。
歩く度に横から鳥の鳴き声やガサガサと言う草の音がリアルに聞こえ、
「──…純……」
チカはギュッと俺の手を強く握った。
───とその時。
突如暗闇からチカに向かって手が伸びる。
「───…チカ……
後ろ………っ」
「……えっ─…?」
背後には、髪の長い白い着物を着た女が笑ってチカの肩に触れている。
「ッきゃぁぁぁぁあ!!!!」
────ブツッ!!!!
チカの叫び声と共に、前方の大きなスクリーンに何やら映像が映る。
「──…へ……」
半泣きのチカは、その映像を見て更に顔が引きつっていった。
スクリーンに映るのは、最近流行った某有名なあのホラー映画の一場面。
「──…ち、ちょっと待って……!
これってまさかあの─…」
──森に映る井戸、
そしてその井戸から黒い長い髪と白い着物を着た女性が──…
「いやぁぁぁ!
あたしリングの貞子とか苦手なのよぉぉぉ!!!!」
──ギュッ!
チカは俺の手を離し、恐怖のあまり俺に抱き付いた。
た……確かにこれは怖いかも─……
こちらに向かってテレビから出てくるリアル貞子に苦笑いしながらそう思った。
「あーあ、チカ、ほら貞子睨みに来たでー?」
「ぎゃー!!
もうマジでいいってば!
リアル過ぎるのよぉ!
怖い~~…!!」
俺の胸でブンブンと首を振り泣き喚くチカを見て、
いくら気が強くたって、何だかんだ言ってもやっぱり女の子なんだな…と
何だか無意識に笑ってしまっていた。



