──そのまま。
俺は思い出に後ろ髪を引かれながらも、すっかり文化祭色に染まった校内を回り始めた。
中でも一際本格的なお化け屋敷に目が止まり──…
「お♪お化け屋敷発見~」
俺が楽しげに指差すと、
「───……」
魔女の格好をした女の子が俺の声に反応し、じっと見つめて来た。
…………
………あれ?
何か見覚えある女の子やよなぁ…
その女の子も、まるで俺を探るかのように目を細め、じーっと俺を見つめている。
「純、知り合い?」
「……え?いや──…」
知り合いなら、すぐに名前が出て来るはず。
そう簡単に知り合いの名前を忘れはしないし。
かといって、もう在校生での知り合いは太鼓部の後輩くらいしか知らないし──…
その女の子は背が高くて、髪の毛が長い、凛とした女の子。
……やっぱりどこかで見た事がある……。
「───…あの……
人違いだったらごめんなさい。
もしかしてあなた、
“朝岡さん”じゃないですか?」
「──……えっ…?」
俺が声を掛けるよりも先に。
その女の子は、長い綺麗なストレートの黒髪を揺らしながら俺にそう声を掛けて来た。
「──…そうやけど、君は……?」
「……良かったぁ。
間違えてたらどうしようかと。
あたし、笹原ナナといいます。
前に一度お会いしたことがありますよね?」
「………」
──夏休み。
補習をド忘れして呑気に占いを見ていた彩に、
“今日から補習だ”
と問答無用で引っ張っていった友達の存在が頭に蘇って来た。
「──……あぁ!
あん時の彩の友達か!」
そう叫ぶと、ナナちゃんはニッコリと頷いた。



