「焼き肉やって♪
何や転居した祝いっぽくて運えぇよな♪」
俺はチカを助手席に促しながらニコッと笑いかけた。
「……ほんとにあたしなんかが行っていいのかな…」
「いいのいいの♪
せっかくやねんから肉食いまくったれ♪」
「……」
───…吾郎&壱の暮らすマンション前。
そわそわと落ち着かないチカの背中をゆっくりと押し……
───ピンポーン。
インターホンを押すと、
チカは泣きそうになりながら俺を見つめた。
「……純……あたし…」
「怖くないよ。
もし追い出されでもするようなら、俺があいつら追い出したるから♪」
そう笑うと、中からバタバタとこちらへ近付いてくる足音が聞こえた。
──…ガチャ…
「──純!チカちゃんも!いらっしゃい♪」
相変わらずの吾郎の仏スマイル、
「久しぶりぃ♪♪
どーぞ入ってねぇ★
超散らかってるけどっ♪」
壱のキラキラした瞳、
「──…チカ、酒飲む?
中入りなよ。」
マリアがユラユラと缶ビールを揺らしながら笑いかけた。
「───……」
チカは顔に手を覆って泣き始めた。
「……な?
言ったとーりやろ?」
俺はチカの頭をポンと撫でながら、笑った。
チカをこのままにしたくなかった。
人との触れ合いを避けてほしくなかった。
こんな時だからこそ、人の温もりを感じて欲しかった。
確かに吾郎やマリア、壱はあまりチカに好意は持っていないけれども…
けれど、あいつらは絶対に傷ついた人間を見捨てたり責めたりはしない。
それを分かっていたからこそ、俺はチカの話をして理解と協力を求めた。



