「……純……
何言ってんの…?
だって──…
だってあたし、純から逃げたんだよ?
電話だって拒否したじゃない──…
“都合悪くなった途端に頼るな”って追い出したらいいじゃない───…!!」
チカは首を横に振りながら、俺のシャツをギュッと握った。
その手が震えている事は瞬時に分かった。
“突き放さないで”と願っていることも。
「──…無理や。
それに金もないんやし、
家に戻ったとしても、
いつそいつが怒鳴り込んで来るか分かれへんやろ。」
「…………」
「なら、俺の家にいる方が安全やろ?
次に住むとこと、その資金が貯まるまではここにいてえぇから。」
「──…純……」
チカは顔を上げ、心底安心したように涙を浮かべた。
そして、そのまま肩の力が抜けたように俺の胸にスッポリと収まった。
「──……ありがと……」
暗闇の中、チカは小さく呟いた。
──俺はチカに手を差し伸べた。
何度も言うが、この時選択した俺の道は間違っていたかもしれない。
でも今となって振り返れば、これで良かったと思う。
今度こそ逃げずにチカと向き合いたいと思ったから。



