サラリとチカの髪に指を這わせ、ソファにくるまって目を閉じる。
視界が闇に埋まれば、
そこには月明かりと街灯の下、震えるあの日の彩がいた。
“……これ…
一週間前に転んだの…
彩ドジでしょ?”
そう言って、
傷つきながらも必死に笑おうとするあの小さな姿が闇に浮かぶ。
───守れなかった。
あの日、俺はどうするべきだったのかと今も自分を問い詰める。
結局はあの時──…
俺は自分を守ったんじゃないか?
彩に拒否されるのが嫌だから。
頼りにされないのが嫌だから。
彩がボロボロになっているのに気がつきながら、
結局自分が傷つきたくなくて見て見ぬフリ。
俺は───……
「─────…ッ」
その時、ベッドからチカの泣き声が聞こえた。
「──…チカ?」
俺は暗闇の中、チカにそっと近づく。
「………純……」
腫れた目から大粒の涙を零しているチカがいた。
守れなかった彩の思いが、何か力になれればという思いに変わる。
「──…なぁチカ…」
「……………」
「……いつからお前は隠れて泣くようになったん……?」
そう言って呆れ笑いをする俺を見つめ、
「────……っ」
チカはもっと顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。



