────ザァァァッ…
湯気が上がる浴室で、
今度は熱い雨に打たれながら──…
“───……純……”
傷ついて小さくなってしまったチカを思い返していた。
強気で傲慢で勝ち気な性格でワガママで
……そんなチカが涙を流すのはよっぽど悲しい事があったからだ。
───それは
多分俺しか知らない。
チカは、いつだって何だって俺の前でしか泣かない。
……いや、泣けない。
どんな時も絶対に涙は見せないプライドが高いやつだけど。
──…だけど、
“純がいないと……
あたし……
泣けないよ─…っ
泣ける場所なんかないよ───……っ”
……当時高校生のチカが俺に涙を見せながらそう言った事を思い出していた。
チカはよほどの事がない限り、泣かない。
イコール、
涙はチカの緊急サイン。
いわばSOS。
最後にケンカして腹が立った事とか、
普段のチカに苛つくからとか、
…そんなくだらないことは今は関係なくて。
───…ただ、
俺を頼ってくれたからには、支えてあげなきゃいけない。
……そんなごく当たり前の感情に頷きながら、
「……チカ……」
ベッドで寝息を立てる傷だらけのチカを見つめ、そっと頭を撫でた。



