チカを背中に背負いながら、色んな思考が頭をグルグルと回った。
何故、チカは泣いているのか。
どうしてこんなに傷だらけなのか。
“あんな家……っ
帰りたくない──…っ!”
……チカは確かにそう口走った。
チカは俺の家から少し離れた場所で一人暮らしをしている筈だ。
親と衝突するにも一人で住んでいるからそれはないだろうし……。
どうして帰りたくないんだろうか──…
……とその時……
────ギュッ……。
「………チカ?」
冷たい雨に濡れながら、
チカは弱々しく俺の背中をギュッと握り締めて来た。
「─────…ッ……」
そして微かに聞こえて来た泣き声。
俺の背中に顔を埋め、声を出すまいと必死に堪えるチカを、俺は背中伝いに感じた。
……そんなチカを俺は人間としてどうしても放っておく事が出来ず──…
「……チカ……
大丈夫やから。
もう大丈夫──……」
そう言って、小さな子供をあやすかのように。
俺は強く凄まじい雨に打たれながら、ひたすら歩き続けて自分の家を目指した。



