「チカ!」
「…………」
────ザァァァッ!
チカのか細い声が雨の音に掻き消され、全く聞こえない。
「チカっ…!
とりあえず送るから!
早よいこ!!」
俺が急いでチカの腕を取ると……
「───……や…」
「え?」
「いやぁぁあっ!!!!」
────パシッ!!!!
雨に負けない叫び声を上げ、チカは俺の腕を強く振り払った。
「───なっ…!?
チカ!!!
待てってチカ!!!」
バシャバシャと水を跳ね飛ばし、チカは背を向けて走り出した。
「───チカ!!!」
「いやっ!!!
来ないで!
帰りたくない!
あんな家…………っ
帰りたくなんかない───…っ!」
「───…待っ…
チカ!!!!」
俺は必死に追いかけ、
暴れるチカを後ろから抱き締めるように動きを止める。
「チカ!
分かった!!!
分かったから!
ほんなら俺の家行こう!!
な?!
それでえぇやろ?!」
「───…」
チカはようやく静まり、
怯えるように俺を見つめている。
「……ほら、背中につかまれ。
おぶって行くから。」
雨に濡れ、完全に冷え切った俺の手を差し出すと、
「…………」
チカは恐る恐るではあるが、手を重ねてきた。



