「……マリア……

朝からチカの名前出さんでえぇって」





「まぁそれより前に、

違う女の子を送ったって聞いただけで首締められそうだけど」





吾郎も一緒になって毒を吐いてきて、俺はよけいに暗くなる。






……その時。






───ヴーヴー……。




タイミングよく、ケータイが光と振動を放った。






「ウワサすればチカちゃんからじゃないっ?」





「…………」






………ご名答。






【受信メール】




From;チカ

無題

─────────

おはよーo(^o^)o★★

今日会えそう?

家いっていい?



-END-







「…………」





溜め息が出る。



深い深い溜め息が。







────川瀬 チカ。






チカとは高校生の時に知り合った。




ワガママで気が強い。




俺がドストライクで苦手なタイプ。




どこで間違えてしまったのか──…。





チカは俺の“彼女”らしい。



らしい、なんて言い方はあかんかもしれへんけど…。




当時、俺とチカはお互い嫌い合っていた。




それこそマリアと壱のレベルなんかシャレにならんくらい……




毎日毎日、顔を見合わせれば喧嘩していた。





──…それがある日。






“飼ってた犬が死んじゃったの─…”





そう泣くチカの涙により、俺はチカを突き放せなくなる──…。