「──……」
突然来てしまって、迷惑じゃなかっただろうか?
もし会うことさえ拒絶されたらどうしようか…?
頭の中でよぎる不安が胸を締め付ける。
──…と、その時…。
──トン、トンッ……。
すぐ近くで、階段を下ってくる足音が聞こえた。
そして目の前には──…
「──…朝岡さん…?」
驚き、大きな目をさらに丸くした彩。
───ドクン…。
重い重い心臓のリズムに、翻弄されそうになる。
「…どうして…?」
──…落ち着け。
ここで冷静にならなきゃ、どうする?
「チヒロに彩の家の場所聞いたんや。
──…良かったら時間ある?」
「……え、うん…」
「外、行けへん?
車で来たから─…。」
俺は玄関のドアを開け、車の鍵を揺らして精一杯の笑顔で微笑んだ。
「…うん。」
───…ホッ…。
彩は嫌がる様子もなく返事をして、慌てて玄関を出た。
ドアを開けたまま彩を先に通し、
「……お邪魔しました。
あまり遅くならないようにしますので……」
……そう言って、
ずっと彩の様子を隠れて伺っていた彩の母親に笑いかけた。
「……いえっ…
そんな……っ
お気遣いなく……」
“バレてたの?”
と言うように頬を赤く染める彩の母親に、もう一度笑って頭を下げた。
親子揃ってリアクションが可愛いんやな……
──…ドアを締め、
うろたえる彩に向かって、
「彩、こっちな。」
そう誘導して、エスティマのドアロックを外す。
「どうぞ。」
更に助手席側のドアを開け、彩を助手席に促した。
「…ありがとう。」
そう答え、彩は助手席へと乗り込んだ。



