「……はっ……」
髪をくしゃっと掴み上げながら、乾いた笑いが零れた。
──どうかしてる。
どうかしてるよ、本当に。
たかが高校生じゃないか。
五つも年下相手に何で俺がここまで振り回されなきゃならないんだ。
誰を好きだろうと関係ないだろ。
───でも……
泣いている。
傷ついて涙を浮かべていた。
今日のあの溜め息も、
悲しいほど綺麗な切ない表情も。
今となっては全て分かってしまった。
『頑張れ』と好きな奴の背中を押す前者になるか?
──それとも、
『諦めろ』と好きな奴の幸せをけなす後者になるか?
前者は彩の幸せを願う者。
後者は俺の幸せを優先する者。
───自分の幸せか彩の幸せか?
「…………」
死ぬほど悩みに悩んだ末。
俺は二本に枝分かれしたうちの一本道を信じて進んだ。
───彩の幸せを、切に願いながら。



