───ふわり…。
風がイタズラに彩の髪を揺らす。
その魅惑な甘い香りに、
また俺は性懲りもなく誘われる。
──どうにかしてくれ。
…本気でそう思った。
このままじゃ俺は花に誘われた虫だよ。
狂いそうになる。
悶え死にそうになる。
誰か止めてくれ、
壊れそうな俺の本能を。
「…………」
ふぅっと一つ深呼吸を付いて、俺は彩に笑顔で本能を隠した。
「──彩は?
何か得意なもんあるん?」
「えっ!?あたし?」
彩はまさか自分に質問が返って来るとは思っていなったのか、そう言って視線を宙に舞わせた。
「何か好きな事とかある?
得意な事とか……」
「うんっ♪
いっぱいあるよ♪」
「おっ?何なに?」
俺は興味がそそって彩を見る。
好きなヤツの事をもっと知りたいなんて、人間は変な生き物だ。
「んーっとね♪
あたしが好きな事はー…
本を読む事、
詩を書く事、
絵を描く事♪」
───…へぇ……
「おぉっ?
彩って意外と感受性豊かタイプなんや?」
「あははっ♪何それー?」
俺が茶化すと、彩はニコニコと鞄から何かを取り出した。



