───サァァ…。
風が彩の髪を揺らす。
甘い匂いにつられ、俺はその香りに誘われるかのように彩へと近付いた。
「彩、何でそんな暗い顔してるん?」
「えっ?」
俺の声に驚き、素っ頓狂な声を上げる彩。
そんな彩を見て、俺は自然に込み上げる笑顔を堪える事が出来なかった。
───……あ……。
彩の顔を見て、そんな声が漏れそうになるのを押しこらえる。
誰かに殴られた顔の傷。
綺麗サッパリ跡がなく、腫れも引いている。
───…すると……。
「よかった……。」
「え?」
声を上げたのは俺ではなく彩。
俺は驚いて彩を見る。
「…傷、治ってるなぁって…。」
───…え?俺?
そう言って涙ぐむ彩を見て、傷について少し記憶を巡らせた。
─────あぁ、あれか。
そこで瞬時にコンビニで彩を庇った出来事が思い浮かんだ。
「…あぁ、あんなん心配せんでえぇって♪
俺は何ともないから安心しぃや。」
……んなこと気にしてたんか…。
……ポンポン。
そう言って、安心させるかのように彩の頭を撫でる。
…彩はホッとしたように少しだけはにかんだ。



