──シュボッ…。
Zippoから炎が揺れる。
マリアの白くて細い指から煙がゆっくりと舞い上がった。
桜の花びらが舞う中、
マリアが煙草を吸うだけでそれが『絵』になってしまう。
マリアに出逢ったのも数年前。
……その頃から既に女っぽい所は全くない。
いつも落ち着いていて、
キャピキャピすることも一切ない。
だから、俺達にとって男友達に近い感覚だ。
「──…壱、あたしの鞄の中にあんたの教科書入ってたわよ。」
マリアは壱の前で教科書をヒラヒラと見せつけ、ポイッと捨てた。
「ああっ!!!!何すんだよ!!」
壱は慌てて教科書を拾いに走る。
「──…知らないわよ。
あんたが散らかすからあたしの荷物に勝手に混じったんでしょ。」
マリアはギュッと煙草を押し当て、ギロッと壱を睨んだ。
「~~~~…!」
壱は悔しそうにマリアを睨む。
「…ほ~ら、いわんこっちゃない。」
吾郎が二人の闘いを見て笑った。
壱とマリアはいつもこうだ。
顔を見合わせれば喧嘩する。
「まぁ、せやけど仲がいいほど喧嘩するって言うやん♪」
俺は笑いながら体の向きを変えて歩き出した。
───メンバーが全員揃った。
──…これが、
俺のかけがえのない仲間達。



