三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~

 バレンタイン。この世界のこの国では、男女関係なく家族や恋人など愛する人や大切な人へお菓子や花などを送る日だ。この日、ヴィオラはキールへ送るケーキを作っていた。

(キール様と一緒に食べるケーキで、まだチョコケーキは作ってなかったはず。喜んでくださるといいな)

 ヴィオラは魔力が枯渇し、食べ物を食べていないと体が瘦せ細り、そのままにしておくと死んでしまう。そのため、魔力が膨大で魔力放出という暴走を起こしてしまうキールと婚約、結婚することになった。キールと結婚する前から自分で食べる用のケーキやお菓子を作っていたが、キールと結婚してからもたまに作っており、ヴィオラがお菓子を作るとキールが一緒に食べたいと言って一緒に食べていた。

 厨房に広がる甘いチョコの香りがヴィオラの鼻先をくすぐる。整えた生地に溶かしたチョコをかけ、側面を丁寧にパレットナイフで整えると、最後に金箔を飾った。ケーキの横に添えるための生クリームもしっかり準備しておく。

(できた!自分で言うのもなんだけど、とっても美味しそう!キール様のお口にあうといいのだけど)

 ヴィオラは頬を少し赤らめて、ケーキをゆっくりと大切そうに冷蔵庫へしまった。