3話の続き
〇放課後(夕)
速水「俺と付き合ってくれないかな?」
菫「…………え?」
菫(今、付き合ってって言われた?)
菫「どこかに付き添うとか、そういう流れでもないよね?」
速水「うん、違うね」
速水「恋人同士の関係」
一歩、速水が菫に近づく。
菫(どうして速水くんが私に?)
菫「あの、ちょっと戸惑ってて……」
菫「気持ちはもちろん嬉しいっていうか」
速水「あはは、困らせてごめんね」
速水「でも、答えは今じゃなくていいんだ」
速水「俺のことを意識してくれたら嬉しいなって」
菫(王子様スマイル……!)
菫(少女漫画で見てたら確実に悶えてたシチュだ!)
〇教室(朝)
翌朝、席に座って、ぽけーっとしている菫。それを見て、ちょいちょいと菫の頭をつつく風香。
風香「おーい、菫さーん」
菫(速水くんはどうして私に付き合ってって言ってくれたんだろう)
菫(もしかして、私のことが好きだったから優しくしてくれてた?)
風香「菫……(といい気かけて、何かに気付く素振り)
伊桜「おい」
額にデコピンを食らわされて意識が戻る菫。
菫「は、はいっ!」
伊桜「(不満そうに)なんで連絡シカトすんだよ」
菫「れんらく……」
いてて、と額を抑えつつ、ごそごそとスマホを鞄から取り出す菫。
菫「あ、ほんとだ……ごめん、見てなくて」
伊桜「いいけど」
そう言って自分の席に向かう伊桜を風香が、目を大きくしてみていた。
風香「ちょっ、いつからそういう関係!?」
菫「え……うーん、二、三日ぐらい前?」
風香「なんでそんな展開になってんの!」
風香「速水派の一員になるって話は!」
菫(速水くんに告白されたなんて聞いたら驚くんだろうなあ)
菫(とはいえ、速水くんからすれば言いふらされたくないだろうし)
菫「なんていうか、話をする機会が増えたと言いますか」
風香「(疑ってるような目つきで)ほお?」
風香「ま、菫が少女漫画に集中できない理由がわかったから見守るわ」
風香「何かあったら相談ぐらいしてよ」
菫「風香……(うるうると目に涙)」
女子生徒「もお、朝凪ってば最近ノリ悪い」
その声に「?」と振り返る菫。廊下側の一番後ろの席には伊桜が座っていて、その前の席の男子生徒(伊桜の友人)が「どうしたんだよ」と話に入る。
女子生徒「カラオケ行こうって誘ってんのに、断られたあ」
男子生徒「まじで? 誘われたらどこにでも行くお前が」
伊桜「気分じゃないってだけ」
女子生徒「ってか、最近変だよ。今日の朝だって告られてたのに断ってたでしょ」
菫(え、そうなんだ……)
伊桜「うーん」
菫(もしかして、誰とでもそういうことしないって言ったのを守ってくれてるのかな)
伊桜「ま、行くか」
菫(行くんかーい!)
菫(ちょっと見直したところだったのに)
〇駅のホーム(夕)
菫(朝凪くんにはあまり刺さらなかったのかなあ)
菫(もっと別の角度から恋愛について教えられたらいいんだけど)
速水「水縹さん」
菫「えっ、速水くん!?」
菫「で、電車通学だったの?」
速水「いや、ちょっと用事があって」
速水「水縹さんこそ電車通学だったんだね」
速水「そうだって知ってたら俺も同じにしたんだけど」
菫(うっ……爽やかな笑顔でなんてことを……)
速水「そういえば、今日は漫画を読んでる姿見かけなかったけど」
菫(速水くんに知られてるの!?)
菫「あー……なんか集中できなくて」
速水「もしかして、俺が告白したから?」
菫「!」
速水「あはは、ごめん冗談」
速水「水縹さんの反応が可愛くてつい」
菫「か、かかかかわいい……?」
速水「(照れくさそうに)うん、ずっとそう思ってたんだけど」
速水「最近はなんか変わったっていうか」
菫(それはどう考えても朝凪くんのおかげだ)
心の中で「ありがとう」と手を合わせて感謝する菫。
速水「でも、(少し悲しそうに)こうして話しかけるのは迷惑……かな?」
菫「へっ!? そそそそ、そんなことはないよ……!」
菫「私でよければよろこんでと言いますか!」
速水「やった(少年のように嬉しそうな顔で)」
菫(うわあ、神だ……その反応は神回だあ……)
菫(少女漫画だったら、絶対に速水くん推しになってたんだろうな)
菫(……ん?なんか)
↑でもドキドキしないなということに気付く菫。
速水「水縹さん?」
菫「!」
速水「電車来たよ」
菫「あ、ありがとう……じゃあまた明日!」
速水「また明日」
慌てて車内に乗り込んで振り返れば、閉まる扉越しでにこやかに手を振ってくれている速水が見える。
控えめに手を振り返しながら微笑む菫。
菫(速水くんは優しい)
菫(この人と付き合えたら、きっと少女漫画のような恋愛ができるかもしれない)
菫(私が漫画好きなことをからかわないでいてくれるし)
菫(でも──)
そのとき、菫のスマホが振動する。
【伊桜:やっぱ行くのやめる】
菫(やめる……?)
【菫:もしやお相手を間違えていたり?】
【伊桜:まちがえた】
返信を見て、ふふと笑みがこぼれる菫。
菫(もしかしてカラオケに行く話かな?)
菫(女の子とは一緒に行かなかったんだ)
【伊桜:明日は放課後、図書室で】
全力で頷く謎の動物(ネズミのようなクマのようなゆるキャラ)スタンプを送る。
菫(早く明日にならないかなあ)
と思いながら目を閉じて、「ん!?」と勢いよく目を開ける。
菫(え、なんでこんなこと思ったんだろう)
菫(朝凪くんと集まれるのが嬉しかったとか?)
菫「(スマホをじっと見つめる)」
菫(……まさか、ね)
〇放課後・図書室(夕)
菫(おかしいな、そろそろ来る頃だと思うんだけど)
伊桜とのトーク画面(スマホ)を見て、首を傾げている菫。
菫(昨日みたいに、やーめたってなったとか?)
菫「……ありえそう(トホホ)」
菫「一応、教室だけ覗いてみようかな」
〇放課後・廊下(夕)
菫の教室(2ーA)から何やら声が聞こえてくる。
菫(もしかして朝凪くん?)
更に近づこうとしたそのとき──
速水「いや、何が悪いんだよ」
教室の中には速水と伊桜が対峙するように立っていた。
伊桜「わからない時点で終わってんな」
速水「どうせ朝凪も、面白半分で水縹さんに近づいてんじゃねえの?」
菫(……え?)
どくんと、胸の奥が痛む菫。
速水「図書室で仲良さそうにしてたもんな」
普段見かけるような速水とはかけ離れた意地悪そうな表情。
速水「あの人、ちょろそうだよね」
速水「俺も興味本位で一回は遊んでみたかったんだけど」
伊桜「やっぱり、校舎でやってんのお前かよ」
速水「悪いな、濡れ衣着せちゃってるみたいで」
菫(なに、これ……)
菫(どういうこと?)
速水「なあ、もう手出したんだろ?」
速水「感想教えてよ」
伊桜「……」
速水「どうせ少女漫画に出てくるような展開で落としたんだろ?」
速水「曲がり角でぶつかるとか、プリント集め手伝ったりとか」
速水「そういうのしたら、なんか馬鹿そうな顔してたし」
菫「!」
菫(ここから離れないと……)
菫(別に初めてでもないんだから)
それでも足が一歩も動かない菫。
伊桜「おい」
声だけが聞こえて、はっとする菫。
伊桜「人が大事にしてるもん笑ってんじゃねえぞ」
その先には、心底軽蔑したような顔で速水を見る伊桜の姿。
伊桜「何が好きでも自由だろうが」
速水「え、もしかして水縹さんにガチだったりする?」
速水「うそでしょ。朝凪なら選び放題じゃん」
伊桜「そういうことばっか考えてるから、水縹にも好きになってもらえねえんじゃねえの?」
伊桜「どうせ告ったんだろ」
速水「!」
速水「うるせえよ、調子のんな」
速水「こっちはもともと真剣じゃねえんだよ」
伊桜「俺は真剣なんだよ」
菫「……ッ!」
〇放課後(夕)
速水「俺と付き合ってくれないかな?」
菫「…………え?」
菫(今、付き合ってって言われた?)
菫「どこかに付き添うとか、そういう流れでもないよね?」
速水「うん、違うね」
速水「恋人同士の関係」
一歩、速水が菫に近づく。
菫(どうして速水くんが私に?)
菫「あの、ちょっと戸惑ってて……」
菫「気持ちはもちろん嬉しいっていうか」
速水「あはは、困らせてごめんね」
速水「でも、答えは今じゃなくていいんだ」
速水「俺のことを意識してくれたら嬉しいなって」
菫(王子様スマイル……!)
菫(少女漫画で見てたら確実に悶えてたシチュだ!)
〇教室(朝)
翌朝、席に座って、ぽけーっとしている菫。それを見て、ちょいちょいと菫の頭をつつく風香。
風香「おーい、菫さーん」
菫(速水くんはどうして私に付き合ってって言ってくれたんだろう)
菫(もしかして、私のことが好きだったから優しくしてくれてた?)
風香「菫……(といい気かけて、何かに気付く素振り)
伊桜「おい」
額にデコピンを食らわされて意識が戻る菫。
菫「は、はいっ!」
伊桜「(不満そうに)なんで連絡シカトすんだよ」
菫「れんらく……」
いてて、と額を抑えつつ、ごそごそとスマホを鞄から取り出す菫。
菫「あ、ほんとだ……ごめん、見てなくて」
伊桜「いいけど」
そう言って自分の席に向かう伊桜を風香が、目を大きくしてみていた。
風香「ちょっ、いつからそういう関係!?」
菫「え……うーん、二、三日ぐらい前?」
風香「なんでそんな展開になってんの!」
風香「速水派の一員になるって話は!」
菫(速水くんに告白されたなんて聞いたら驚くんだろうなあ)
菫(とはいえ、速水くんからすれば言いふらされたくないだろうし)
菫「なんていうか、話をする機会が増えたと言いますか」
風香「(疑ってるような目つきで)ほお?」
風香「ま、菫が少女漫画に集中できない理由がわかったから見守るわ」
風香「何かあったら相談ぐらいしてよ」
菫「風香……(うるうると目に涙)」
女子生徒「もお、朝凪ってば最近ノリ悪い」
その声に「?」と振り返る菫。廊下側の一番後ろの席には伊桜が座っていて、その前の席の男子生徒(伊桜の友人)が「どうしたんだよ」と話に入る。
女子生徒「カラオケ行こうって誘ってんのに、断られたあ」
男子生徒「まじで? 誘われたらどこにでも行くお前が」
伊桜「気分じゃないってだけ」
女子生徒「ってか、最近変だよ。今日の朝だって告られてたのに断ってたでしょ」
菫(え、そうなんだ……)
伊桜「うーん」
菫(もしかして、誰とでもそういうことしないって言ったのを守ってくれてるのかな)
伊桜「ま、行くか」
菫(行くんかーい!)
菫(ちょっと見直したところだったのに)
〇駅のホーム(夕)
菫(朝凪くんにはあまり刺さらなかったのかなあ)
菫(もっと別の角度から恋愛について教えられたらいいんだけど)
速水「水縹さん」
菫「えっ、速水くん!?」
菫「で、電車通学だったの?」
速水「いや、ちょっと用事があって」
速水「水縹さんこそ電車通学だったんだね」
速水「そうだって知ってたら俺も同じにしたんだけど」
菫(うっ……爽やかな笑顔でなんてことを……)
速水「そういえば、今日は漫画を読んでる姿見かけなかったけど」
菫(速水くんに知られてるの!?)
菫「あー……なんか集中できなくて」
速水「もしかして、俺が告白したから?」
菫「!」
速水「あはは、ごめん冗談」
速水「水縹さんの反応が可愛くてつい」
菫「か、かかかかわいい……?」
速水「(照れくさそうに)うん、ずっとそう思ってたんだけど」
速水「最近はなんか変わったっていうか」
菫(それはどう考えても朝凪くんのおかげだ)
心の中で「ありがとう」と手を合わせて感謝する菫。
速水「でも、(少し悲しそうに)こうして話しかけるのは迷惑……かな?」
菫「へっ!? そそそそ、そんなことはないよ……!」
菫「私でよければよろこんでと言いますか!」
速水「やった(少年のように嬉しそうな顔で)」
菫(うわあ、神だ……その反応は神回だあ……)
菫(少女漫画だったら、絶対に速水くん推しになってたんだろうな)
菫(……ん?なんか)
↑でもドキドキしないなということに気付く菫。
速水「水縹さん?」
菫「!」
速水「電車来たよ」
菫「あ、ありがとう……じゃあまた明日!」
速水「また明日」
慌てて車内に乗り込んで振り返れば、閉まる扉越しでにこやかに手を振ってくれている速水が見える。
控えめに手を振り返しながら微笑む菫。
菫(速水くんは優しい)
菫(この人と付き合えたら、きっと少女漫画のような恋愛ができるかもしれない)
菫(私が漫画好きなことをからかわないでいてくれるし)
菫(でも──)
そのとき、菫のスマホが振動する。
【伊桜:やっぱ行くのやめる】
菫(やめる……?)
【菫:もしやお相手を間違えていたり?】
【伊桜:まちがえた】
返信を見て、ふふと笑みがこぼれる菫。
菫(もしかしてカラオケに行く話かな?)
菫(女の子とは一緒に行かなかったんだ)
【伊桜:明日は放課後、図書室で】
全力で頷く謎の動物(ネズミのようなクマのようなゆるキャラ)スタンプを送る。
菫(早く明日にならないかなあ)
と思いながら目を閉じて、「ん!?」と勢いよく目を開ける。
菫(え、なんでこんなこと思ったんだろう)
菫(朝凪くんと集まれるのが嬉しかったとか?)
菫「(スマホをじっと見つめる)」
菫(……まさか、ね)
〇放課後・図書室(夕)
菫(おかしいな、そろそろ来る頃だと思うんだけど)
伊桜とのトーク画面(スマホ)を見て、首を傾げている菫。
菫(昨日みたいに、やーめたってなったとか?)
菫「……ありえそう(トホホ)」
菫「一応、教室だけ覗いてみようかな」
〇放課後・廊下(夕)
菫の教室(2ーA)から何やら声が聞こえてくる。
菫(もしかして朝凪くん?)
更に近づこうとしたそのとき──
速水「いや、何が悪いんだよ」
教室の中には速水と伊桜が対峙するように立っていた。
伊桜「わからない時点で終わってんな」
速水「どうせ朝凪も、面白半分で水縹さんに近づいてんじゃねえの?」
菫(……え?)
どくんと、胸の奥が痛む菫。
速水「図書室で仲良さそうにしてたもんな」
普段見かけるような速水とはかけ離れた意地悪そうな表情。
速水「あの人、ちょろそうだよね」
速水「俺も興味本位で一回は遊んでみたかったんだけど」
伊桜「やっぱり、校舎でやってんのお前かよ」
速水「悪いな、濡れ衣着せちゃってるみたいで」
菫(なに、これ……)
菫(どういうこと?)
速水「なあ、もう手出したんだろ?」
速水「感想教えてよ」
伊桜「……」
速水「どうせ少女漫画に出てくるような展開で落としたんだろ?」
速水「曲がり角でぶつかるとか、プリント集め手伝ったりとか」
速水「そういうのしたら、なんか馬鹿そうな顔してたし」
菫「!」
菫(ここから離れないと……)
菫(別に初めてでもないんだから)
それでも足が一歩も動かない菫。
伊桜「おい」
声だけが聞こえて、はっとする菫。
伊桜「人が大事にしてるもん笑ってんじゃねえぞ」
その先には、心底軽蔑したような顔で速水を見る伊桜の姿。
伊桜「何が好きでも自由だろうが」
速水「え、もしかして水縹さんにガチだったりする?」
速水「うそでしょ。朝凪なら選び放題じゃん」
伊桜「そういうことばっか考えてるから、水縹にも好きになってもらえねえんじゃねえの?」
伊桜「どうせ告ったんだろ」
速水「!」
速水「うるせえよ、調子のんな」
速水「こっちはもともと真剣じゃねえんだよ」
伊桜「俺は真剣なんだよ」
菫「……ッ!」



