君との恋は面倒すぎる

 その日のテストが終わって、紗月が近付いてくる。


「どうだった?テスト」

「…うん、いつもよりは解けたかな」


 紗月の明るい声に私も何とか明るい声を取り繕って、机の横の鞄を持つ。


「私今日は体調悪いから帰ろうかな」

「え、大丈夫?送ってく?」

「ううん、大丈夫!」


 テストの日は早めに学校が終わって、2日目のテストに備えるために早く帰宅する。

 今日はもう蒼空くんとも話せなさそうだし、このまま外にいると泣いちゃいそうだからすぐに学校を出た。

 こんな風になるの初めてでどうしたら良いかわからない。

 せっかくテスト終わって休みに入ったら出掛けようって言ってくれていたのに、今は自分から話しかけることもできない。

 早歩きで学校を出て、家に向かっていると突然後ろから腕を引かれた。ぐっと引かれて立ち止まると、腕を引いた本人は蒼空くんだった。

 少し焦ったような、そんな何とも言えない表情でこちらを見ている。


「そ、蒼空くん…?」


 何を言うでもなく強く私の腕を捕まえていて、言葉に悩んでいる様な、そんな印象を受けた。


「ごめん、昨日連絡返さなくて」

「あ、いや…、全然」


 まさか謝罪されるなんて思っていなかったから拍子抜けしてかなり間抜けな声が出てしまったと思う。

 蒼空くんも言葉を選んでいるのか、そこから少しの間の沈黙が流れた。


「…少し時間ある?」

「…あるよ」

「俺の家で落ち着いて話したいんだけど、来ない?」

「え?」


 俺の家…?

 まさかのワードに私の理解が追い付いていない。

 蒼空くんの家…?

 まさかこんな状況でお呼ばれされると思ってなくて「えええええ!?」と驚いた声が出た。

 そんな私の大きな声に蒼空くんが顔を少しだけ顰めていた。