君との恋は面倒すぎる

「え?」


そう言いながら紗月は薫くんの肩を掴む。


「あんたに用事あるから面貸して」

「は?紗月?普段話しかけてくるなって言うくせに。」

「今日は緊急事態。黙って着いてきて」


そう言って「はあ?」と怪訝な表情をする薫くんを連れ出して私の方にうんと頷く。

紗月、気遣って連れ出してくれたんだ。

薫くんと紗月は保育園、小学校が同じの幼馴染らしい。

それで目立つ薫くんとは高校で関わらないって決めてたけど私のために連れ出してくれたんだと思う。

蒼空くんと私がその場で取り残されて、少し気まずい。


「…あ、あの」


声を掛けると蒼空くんは二人を見ていた目線をこちらに移す。