君との恋は面倒すぎる

 ずっと人の頭を撫で、勉強をする手は止まっている。

 そんな静かな空間の中で、蒼空くんは「テスト明け、どこ行く?」と静かにこぼした。

 テスト頑張ったら一緒にお出かけして欲しいという私の発言を覚えていたのか蒼空くんはそんな話題を振ってくる。

 まだ終わったわけでも良い点数が取れたわけでもないのに、出かけるのが決まっているかのように。


「まだテスト終わってないよ」

「うん、どうせ出かけるんだから予定決めといてもいいかなって。それに、楽しみは決めといた方が日和は頑張れそうだし」

「私のこと理解しすぎ…」


 中学の時は…、というか付き合ってすぐの時も分からなかった。こんなに恋人になったら甘くなるんだって。

 片思いしてた時も毎日見るだけでときめいていたのに両思いになってからはドキドキが止まらない。


「蒼空くんは行きたい所無いの」

「水族館とか?魚見るの結構好き」


 何か意外だったかも、水族館の提案。

 どこでもいいとか言われるかなって思ったりもしていたのだけど、意外と真剣に話してくれる辺り、蒼空くんも私と出掛けるのを楽しみにしてくれていたのかもしれない。


「じゃあ水族館行こう!私も水族館行きたい」

「テスト明け楽しみ」


 そう言って柔らかく笑う蒼空くん。
 たまにふと見せてくれる優しい笑顔が好き。

 付き合った当初よりも随分優しい表情を見せてくれるようになった。

 付き合って5ヶ月、少しずつお互いのことを知って更に仲良くなれた気がする。まだまだ近付きたいと日が経つにつれ欲張りになっていく自分に私は気付いていなかった。