君との恋は面倒すぎる

「そ、蒼空くん?」


 教室に腕を引っ張られて引き戻された後、後ろから抱きしめられていた。

 いつもこんな事してこないのに…。それもこんな誰がいつ入ってくるか分からないような場所で。

 蒼空くんに対しての強い困惑と、こんな時ですら彼の行動で鼓動がうるさく鳴り響く。


「ドキッとした?薫に好きって言われて」


 そんなの出来る訳が無い。

 こんなに恋焦がれているのも蒼空くんだけなのに他の男子に少しでも気が向くとかそんなの出来ない。

 いつだって惹かれるのも、感情が激しく動くのも、彼相手にしかできない。


「…今のほうがドキドキしてる」


 そう言葉を返した後の蒼空くんの表情がわからないから、どんな顔をしているか見えない。

 私を抱きしめてくれていた力が少し強まって、彼は顔を見られることを拒んでいるように見えた。


「わかってる、わかってるけど不安だった」

「わかってる?」


 それから蒼空くんの言葉は返ってこない。

 わかっているのに不安って何が?
 何がそこまで君を不安にさせているの?