君との恋は面倒すぎる

 教室に鞄を取りに戻り、そのまま真っ直ぐ急いで帰宅する気だった。

 誰か教室に残っているなんて思っていなくて、走って教室のドアを開け、入り込むと蒼空くんが窓の外を眺めていた。

 走って教室の中に入ってきた私に少し驚いた表情をして、こちらを見る。

 先に帰っていると思っていた。
 先に帰っていてほしかった。

 今は蒼空くんに会いたくなかったから。

 一体あなたは薫くんからどんな気持ちで私への気持ちを聞いていたの。

 2人が仲違いした原因が自分だったなんて知りもしなかった。

 何から整理したらいいかもわからずそんなぐちゃぐちゃでボロボロな気持ちに襲われ、地面に視線を落とした。


「まだ残ってたんだ」


 深呼吸をして何とか平静を装って声を掛ける。


「薫と話してきたの?」

「…うん」


 全てお見通しみたいな、その静かな声が今は痛くて苦しかった。

 今は何も話したくない、1人で整理したい。

 蒼空くんから離れたいと思ったのなんて、これが初めてだった。


「…先帰るね。また明日」


 そう言って机の横の鞄を取り、教室から出ようとした。

 廊下に出てすぐくらいの所で腕を引っ張られて、そのまま教室に引き戻される。