君との恋は面倒すぎる

「薫くんちょっといい?」


 帰りのショートホームルームが終わり、薫くんが机の上から鞄を掴んで帰ろうとしている所に急いで声をかけた。

 蒼空くんは掃除当番で廊下掃除に向かっているため、声をかけるならこのタイミングしかないと思い捕まえると、薫くんは少し驚いた表情をしてこちらを見ていた。


「ん、珍しいね。日和ちゃんから話しかけてくるなんて」

「うん、ちょっと聞きたいことがあって」


 時間はそんなに許されていないが、多少は猶予がありそうなこの時間を狙って、人気のない場所まで薫くんを連れ出した。

 少し階段を上り、屋上に入る扉の前で私たちは向かい合う。屋上は普段は施錠されているため、立ち入り禁止なのだ。


「どうしたの?」

「薫くん、蒼空くんと喧嘩した?」


 遠回しな言葉はなしにして直球で質問を投げかけると気まずそうに「あー」と苦笑いしている。

 何かあった事は間違いない。だって2人とも気まずそうで言いづらそうなそんな態度を出すから。

 そもそも二人が喧嘩なんてそんな場面見た事はないのに、どうして喧嘩をすることになったのか、私にできることはないか知りたかった。


「…言いにくい?」

「…ううん、説明するよ。日和ちゃんもある意味当事者だしね」


 当事者?

 知らぬ間に当事者になっていたということに首を傾げる。全く身に覚えのない話に、余計に何の話かわからなくなってくる。