君との恋は面倒すぎる

 試合が終わり網の前で座って見ていた私の元に、蒼空くんが寄ってきて目の前でしゃがむ。

 緑の網越しに目が合ってそれから少し距離を詰めるようにその網に指をかけて近づく。


「…見てた?」

「…見てたに決まってる、好き」


 両手で口元を覆いながら言うと、蒼空くんも私の言葉で少し照れ臭そうにして「周りに人いるんだからそういうこと言ってこないでよ」と注意をしてきていた。

 だって、こんなに好きで溢れているのに今伝えないと伝えこぼしちゃうから。

 高校やクラスが離れていたらきっと蒼空くんの格好良いこんな姿は見られなかったから、心底同じ高校とクラスで良かったと思った。


「七瀬は?試合まだなの?」

「まだだけど、見ないで欲しい…。私運動音痴だし」


 そう言うと少しだけ笑った蒼空くんが優しい声で「うん、知ってる」と言ってくる。

 その言い方…、とうぬぼれすぎかもしれないけれど気付いてしまった。

 中学も同じクラスの時あったから知ってるって言う言い方じゃない。見てたから知ってるよとでも言いたげな言い方。


「出来なくても一生懸命頑張ってるの偉いじゃん、頑張れ」


 いつもは表情に出ないのにこういう時にすごく優しい表情で話しかけてくれるのが嬉しくて、やっぱり好きって何度でもなってしまう。

 こんなに好きで追い求めたくなる人、居なかった。高校1年生なんてこれからだけど、それでも蒼空くん以上に好きになれる人なんていないって確信する。


「…頑張る」


 自分達のチームが呼ばれて蒼空くんに手を振ると軽く手を振り返してくれた。

 いい所見せるとかそんなのできないけど、見てて欲しい。