君との恋は面倒すぎる

───Side 薫


「あーあ、何してんの。薫」


 紗月が俺の横に立ちながら、軽く腕を肘でつついて話しかけてくる。

 全然冗談なんかじゃなかったのにな。

 この夏休み中、今頃蒼空といんのかなとか、何してんのかなとか、楽しく過ごしてんのかなとか、そんなことが気になって仕方がなかった。

 それでも親友の彼女にこんな気持ちを伝えられるわけもなく、嘘と偽って伝える事しか出来ない。

 嘘を吐いたのは彼女だけではなく、自分の気持ちにも嘘を吐いて俺はいつまでこんな風に過ごさなければならないのかをずっと夏休み中悩んでいた。

 あきらめる一択なのはわかっていても簡単に手放せるものではないのが気持ちというもので、今の俺には厄介でしかなかった。


「…本気なの?夏休み中話した事」

「…うん、本気。俺も簡単には諦めたくないし」


 そう言うと紗月は少しこちらを見た後、すぐに目線を逸らす。


「…あ、そう」


 そう呟いて自分の席に戻って行った。
 俺もそんな紗月を見届け、自分の席に戻り授業の準備をした。