君との恋は面倒すぎる

 待ち合わせ場所にはほんの少し早く到着した。

 持ってきた小さな手鏡で前髪などをチェックする。

 その行為が終わってからも少し待っていると「おまたせ」と声が聞こえて、顔を上げる。

 それから驚きすぎて思わず口が開いた。

 浴衣姿の蒼空くん!?

 まさか着てきてくれるなんて思ってなかったからかなり驚いた。


「え、何で!?」

「七瀬先輩から連絡貰ったから。君が気合い入れて浴衣着てるのに俺が私服だとあれでしょ」


 今日だけはお兄ちゃんに死ぬほど感謝する。
 お陰で蒼空くんの浴衣姿拝めたから。


「格好いい…」

「だから何で七瀬はそうやって…」


 私の言葉に少し照れくさそうに顔を背けている。

 そんな表情も見たことがなくて釘付けになってしまう。

 どうしよう、いつもと何もかも違うから?

 好きが溢れて止まらなくなるのどうしたら良いかわからない。


「…まだ時間あるし、出店回る?」

「うん、行こう」


 そう返事をしてから歩き出すと、蒼空くんは自然に私の手を取って繋いでくれた。

 そんな行動が予想外で驚きすぎて蒼空くんの顔を見る。


「え」

「はぐれたら困る」


 そうぶっきらぼうに言いながら、少し耳が赤くなっているのが見える。そんな蒼空くんが愛おしくて口には出さなかったけど、ずっと見ていた。

 蒼空くんが積極的にこうしてくれるようになったのはたくさん話したり私の行動の結果だと思うから、あの日帰りに手を繋ぎたいって言った意味ちゃんとあったと思える。

 この花火大会も昨年の今頃は、ずっと蒼空くんと来たいと憧れるだけだったのに、今年は一緒に浴衣着て手を繋いで回ってる。

 恋人同士で出掛けたり、特別なことが出来るのがこんなに幸せなんて知らなかった。

 そう考えていると落ち着いた蒼空くんの顔がこちらに向く。


「何かしたいこととか無いの」


 私がずっと見ていたから、自然と目が合いお互いに驚くと、蒼空くんが顔を赤くしながら眉を顰めていた。


「…見すぎ」


 付き合いたての時にはわからなかったけど、今は自惚れたくなるくらいに蒼空くんが私を好きだって顔をしてくれてるような気がした。