君との恋は面倒すぎる

「本当に行かないの、紗月」

「いいの、家からでも見えなくはないしね」


 そう言いながら笑って、足音が聞こえた方に目を向ける。玄関から来たのは、客人の対応に向かった紗月の母と、薫くんだった。


「紗月ー、花火大会行こ…って、日和ちゃん?」


 私の姿を見て驚いている薫くん。

 紗月はゲッとした顔をしている。


「薫くん!久しぶり!」

「え、あ、うん。久しぶり」


 紗月を花火大会誘いに来たんだ。
 やっぱ薫くん紗月のこと好きなのでは…?

 そう思うと思わず口元が緩む。


「…蒼空と行くの?」

「そう!もう待ち合わせ時間来ちゃうからいかないと、紗月も行きなよ。花火大会」


 薫くんの問いに答えてから、紗月に話しかけると紗月は少し悩んだような表情をしていた。

 花火大会がきっかけで恋が芽生えちゃうかも知れないし…なんてそんな下世話なことを考えていた。

 紗月はまだ薫くんを好きではないかもしれないけれど、いずれなるかもしれない。


「…浴衣は着ないけど、しょうがないから付き合ってあげる」


 溜息を吐いてそう呟く紗月。

 薫くんはそう答えた紗月ではなく、こちらを見ている。


「よかったね!薫くん!」

「…うん。てかこんなに可愛くしたら蒼空惚れ直しちゃうね。すごい似合ってる」

「本当?だといいな」


 そう言って笑い、紗月と紗月の母にお礼を言った。


「本当にありがとう!命の恩人…」

「大袈裟だよ」


 笑う紗月に首を横に振る。


「よし行ってくる、またね、紗月と薫くん」


 手を振ると2人も振り返してくれ、紗月の家を出た。

 薫くんにも紗月にも褒めてもらったし、蒼空くんも可愛いって言ってくれたら良いな。

 そんな淡い期待を抱いて待ち合わせ場所に向かう。