君との恋は面倒すぎる

 来た先は屋上だった。

 当然学生達は校内で各教室のアミューズメントや模擬店をまわっているから、ここには誰も居ない。


「…屋上?」

「ちょっと2人になったら七瀬の行きたい所行くから休憩させて」


 そう言って手を離すと影になっている壁の所に寄り掛かって座り込む。

 人混み、本当は苦手なのかも。
 学祭、楽しみにしてたけどこんな楽しみ方もある?
 蒼空くんとずっと一緒にいられるなら。

 無理に自分に合わせてもらう必要なんて全くなかった。

 何で楽しむかよりも今一緒にいれる事実が私にとっては何よりも特別で、それだけでよかった。 


「ううん、私もここがいい。2人でいたい」


 そう言って蒼空くんの隣に座ると、ほんのわずかに表情がムッとした気がする。

 そして無言で私の頭を撫でる。


「え?」


 突然の行動でどういう反応すればいいのかわからなくなる。

 そんな不機嫌な表情で一体どんな心境をして頭を撫でてくれてるんだろうと困惑する。


「薫に無防備に頭撫でられるの何で?俺だけじゃないの、触れていいの」


 突然の言葉に驚き、口が開きまぬけな表情になっていると思う。

 その発言でその表情って…、勘違い?

 聞くべきではないのかもしれないけれど確かめたい、そんなことを言われたら…。


「…もしかして、嫉妬?」


 なかなか返事が来ないからその間に少し冷静になってしまう。

 いやいや、流石にないよね。
 自分の都合のいい頭、今だけはお花畑過ぎて恥ずかしい。

 顔が熱くなって手でパタパタと仰ぐ。


「…だったら何」


 思わぬ返答に驚き彼を見る。

 ぶっきらぼうにそう言って少し顔が赤くなってる。
 そんな表情は見たことが無い。


「え、本当に…?」

「ああ、もうムカつく」


 そう言いながら腕で顔を隠してしまう蒼空くん。

 こんなにも感情がたくさん出ている蒼空くんは珍しい。