君との恋は面倒すぎる

 翌日、眠れないまま登校した。
 教室に入ると自然と真っ先に蒼空くんの姿を探していた。
 学校にはまだ来ていないのか姿が見当たらない。


(やばい、どんな顔して会えばいいんだろう)


 いつも朝見てるだけだけどわざわざ近寄って「おはよう」とか言いに行っても良いのかな、なんて落ち着かない気持ちで蒼空くんを待っていると、紗月の姿が見えた。


「お、おはよ。紗月」

「…あんた、クマちゃん来てる」

「えっ!?」


 持っている手鏡を取り出して目元を見る。
 確かに目の下にクマが出来ている。

 彼氏が出来て次の日の顔には到底見えない程の無様な顔に悲鳴をあげそうになる。他のこと考えて外見の事疎かになるなんて、こんなので蒼空くんに会えない!と慌てるもできてしまったものを一瞬で消し去る方法など無いので手遅れである。

 せめて見られてもいい顔にしようと鞄の中を探るもメイク道具など、持ってきてはいない。


「紗月、コンシーラー持ってない!?」

「無いよ、てかうちメイク禁止でしょ。諦めな」


 紗月の無慈悲な言葉だけが返ってきて、私は慌てふためくだけ。


(メイク禁止なのは分かってるんだけど…!)


 うちは確かに校則でメイクが禁止と決まっているけど、こっそり薄く色が付くリップクリームを塗っていたり、薄くメイクをしている人は山程居る。

 なぜこんな時まで私は馬鹿真面目に校則を守っているのか、良い事なのに普段の自分を恨んでしまった。