君との恋は面倒すぎる

「…うん。そもそも回ろうって私言わなかったから」


 そう言って苦笑いすると、気まずくなる空気から逃げたくなって紗月のシャツを引っ張る。

 紗月は心配そうにこちらを見ていたが、必死に笑顔を向けた。


「いろいろ見に行かない?お腹すいちゃったかも」


 その場を急いで離れようとすると、薫くんが蒼空くんの背中を押した。


「…俺、午後からが良いわ。交換して、蒼空」


 そう言われた蒼空くんは特に表情を変えずに薫くんを見ている。


「てことでお二人さん俺とちょっと遊んでよ。暇になっちゃったし」


 そう言いながら薫くんは私と紗月の近くに来る。

 今のですぐわかった。
 気を遣ってくれたんだよね、薫くん。

 私と蒼空くんの時間を作るために、機転を利かせて蒼空くんと交換する様に言ってくれた。そんな彼の優しさに感謝をしつつも、蒼空くんがどうするか分からなくて不安だった。

 蒼空くんは薫くんの言葉に何も言わず、教室の方へ向かっていく。

 午前中に係が変わったとしても誘えなかったし、誘われもしなかったし、結局何も意味なんかないんじゃ…、と落胆した。

 何もかも上手くいかない。

 いつも紗月や薫くんに背中押してもらっているのに、何も出来ない自分が情けなくて仕方がない。