君との恋は面倒すぎる

 少し帰りが遅くなった放課後。
 今日もたまたま蒼空くんと帰りが被ったから一緒に帰路に就く。


「学祭準備授業ないから良いけど、体力使うよねー」


 なんて他愛もない話をする。

 蒼空くんは軽く相槌を打ちながら前を向いて歩くだけ。
 私が話す事の方が圧倒的多い。
 蒼空くんは口数の多い方ではないし特に気になることはない。

 昼間薫くんと話していた事がふと気になって、蒼空くんの左側にある右手を見てしまう。

 手は…当然繋いでみたいけど、繋ぎたいとか言って断られたり…。
 でも私から言わないと進展ないよね、きっと。
 急に握るのもあれだし、繋ぎたいって言ってみる…?

 心の中でそう葛藤をし、軽く一息吐く。


「蒼空くん」

「何」

「手、繋ぎたい」


 今あるだけの勇気を振り絞ってそう伝える。

 断られたらどうしようという恐怖はあったが、今は少しでも前に蒼空君と距離を近づけたいと思った。

 蒼空くんの顔がこっちを向いた。相変わらずポーカーフェイスのその顔は何を考えているのかいまいちわからない。


「なーんちゃって」


 ああ、私のバカ。
 何で冗談にしちゃったんだ。
 蒼空くんもなんだコイツみたいな顔で見てる気がする。

 はははと苦笑いして顔を逸らして俯く。
 素直に返事待てばよかったと後悔する。

 だけど、無言も無表情もしんどいし耐えられなかった。
 穴に埋まりたい気持ちで早く目的地に着くよう願った。

 次の瞬間、左手がスッと取られる。


(え?)


 蒼空くんの予想外の行動に目を見開いてつながれた手を見る。